Ino_noosの自転車遍路の記録

還暦のオヤジが自転車で四国をお遍路しました。その記録を記します。

本編2023年8月11日=高野山奥の院‐金剛峯寺=

走行距離77.0㎞(電車含まず)。本日の費用、札所2,020円、ホテル5,000円、交通費1,170円、食費3,619円、その他530円、合計12,339円。

今日の目標は高野山奥の院、標高約800mまで上る。5:20スタート、ホテルがある紀の川からR24を東に向かって走る。12㎞程東に進みR480を右折するとまもなく上りが始まる。手許のサイコンで勾配10%前後の急勾配だが、四国の遍路転がしを経験したあとでは、10%程度ではどうってことはない。ゆっくり走ればの話だけど。またR480は綺麗に舗装された道路で走りやすい。さらにここはバイクのメッカのようで、早朝にも関わらずバイクがひっきりなしに上っていく。中にはボクに手を振ってくれるライダーもいて、これは気持ちいい。流石高野山のお膝元、お遍路の文化もしっかり浸透しているように思える。
朝日の紀の川紀の川はこの数日後、台風7号による豪雨によって、大幅に増水した濁流となるのだが、今はまだ静かな流れ。

R480は上り始めから標高400mくらいにある峠の100円ショップという木材屋さんまでは上述のとおりきつめの勾配だが、400mに達した後はアップダウンを繰り返す。そして、R370と合流する矢立茶屋の交差点から再び上り始める。しかし今度は勾配5~8%で厳しい坂道ではなく、少しスピードも出せる。ただし交通量は多めになったので注意が必要。そして標高800mを越えたあたりがピークで、そこから少し下るとまもなく大門が見えてくる。
8:00、大門。五間三戸の重層門、高さ約25m。四国最大級である大窪寺の山門が約13mなので、凡そその2倍というわけだ。なお、扁額は3つ見えるが「高」「野」「山」である。

三戸の中央は神仏が通るところなので、人は両端を通ることになっているらしい。大門の脇を抜けてまずは奥の院に向かう。

8:15、奥の院一の橋前。左の四阿の陰に自転車を置き、サンダルに履き替えて参道に入る。SPDシューズはカチャカチャうるさいからね。

左の画像、一の橋前参道入口。中&右の画像、参道。約2㎞このような石畳の参道が続く。しかも両脇には20万基以上の墓石や樹齢千年を越えるといわれる杉の大木が並ぶ。その荘厳さに圧倒される。

以下ボクの心に強く染みた墓所をいくつか紹介する。

伊達政宗墓所。今の仙台市があるのは独眼竜のおかげ。

羽後秋田佐竹家墓所。じゃこてんでおなじみの現職秋田県知事の佐竹氏は、この佐竹氏の末裔だそうな。

毛利家墓所。ひときわ墓石の数が多い。パースが効いて実に見事。

上杉謙信廊。謙信と言えば「毘」の旗印。

本田平八郎忠勝墓所。「家康に過ぎたるもの二つあり 唐のかしらと本田平八」と言われた徳川軍最強無敵の武将。

織田信長墓所。その隣は元の木阿弥で有名な筒井順慶墓所

豊臣家墓所(史跡)。

武田信玄、勝頼墓所。信玄と言えば何といっても「風林火山」。

左の画像、お遍路さんも結構いたりする。右の画像、お坊さんが家族連れと一緒に歩いている。お墓参りだろうか。

奥の院のすごいところは、戦国武将も著名人も一般の人も区別なく墓所が立っているということ。死ねば敵も味方も貴賤もないという考えが明確だ。これ本当に素晴らしいと思う。故人の墓を暴いたり死者を貶めたりするどこぞの国とは全く違う。日本人に生まれて本当に良かったと思う瞬間である。繰り返すが、日本人であることを誇りに思う。

杉の大木の奥に見えるのが奥の院。手前の御廟橋から先は写真撮影が禁じられているので、写真はここまで。

9:30、奥の院を打つ。これにて満願。奥の院参拝後、納経帳のトップページに奥の院御朱印をいただき、さらに白衣にも御朱印をいただいた。納経所の方に「満願おめでとうございます」と言われたときは、この1か月の苦労と努力が報われた瞬間だった。

ところで、上の写真では屋根の一部しか見えないが、お堂は入母屋造り平入の大変大きなお堂で、さらに驚くべきことは、このお堂の縁側を裏側に歩いていくと、真裏に宝形造りのお堂があったことだ。これこそが弘法大師の御廟だと感じた。つまり手前にある入母屋造りの大きなお堂は神社でいうところの拝殿というわけだ。

んっ、まてよ、このスタイルどこかで見たぞ、そうだ21番太龍寺も同様のスタイルだった。そうか、それで太龍寺は西の高野と呼ばれているのか。やっと合点がいった。そう言うことだったのか。

御廟参拝後は来た道を一の橋まで戻るのだが、この往復4㎞には2時間近くかけてゆっくり歩いた。それほど濃密で感動的な時間だった。

10:40、金剛峯寺を打つ。金剛峯寺は、写経を納めるのに入場しなければならず、入場するのに1000円もかかる。さらに根本大堂含む壇上伽藍との共通入場券が欲しければ2500円払えというスタイルだ。ため息が出るようだ。

正門から金剛峯寺を見る。唐破風の奥に弘法大師像がある。

大玄関と小玄関。屋根は基本入母屋造りだが、棟が90度で交差していて複雑。檜皮葺。

蟠龍庭。この石庭は国内で最大級とのこと。

この後根本大塔はスキップした。高野山は12:00に出発。
今朝上ってきた道を下り、矢立茶屋交差点から橋本方向へ進む。標高800mからたぶん50~60mまで一気に下るので気持ちがいいが、一方矢立茶屋から先は道が狭い箇所があったりして緊張しながら走る。九度山を経由して橋本駅に到着。九度山って、あの真田幸村が蟄居していた九度山か、歴史的な地域だなあ。

さて、今夜の宿は奈良市。本当は橿原か天理にして途中飛鳥寺の飛鳥大仏を参拝したかったのだが宿が取れず、やっと見つけたのが奈良だったのだ。世の中夏休みだしね。今日中に奈良まで走るのは無理なので、橋本から奈良まで輪行することにした。1時間40分の電車旅だったが、前半の1時間は口をあんぐりと開けて爆睡だった。流石に旅も終盤で疲労が相当蓄積している。

今夜の宿はTabist Hotel Base Nara。奈良駅から徒歩10分なので、輪行のままチェックインし、袋はフロントに置かせてもらった。そう、今夜はカプセルホテルなのだ。荷物が多いので相当不便だが、カプセルホテルか超高級ホテルしか空いていなかったのだ。旅の最後くらい高級ホテルに泊まりたいとは思っていたが、想定をはるかに超える超高級ホテルしかないので、貧乏性のボクはカプセルホテルにシュリンクしてしまったのだ。明日はいよいよ東寺を参拝し、この旅も完結する。ところで帰りの切符は取れるのだろうか…

8月11日終了。