Ino_noosの自転車遍路の記録

還暦のオヤジが自転車で四国をお遍路しました。その記録を記します。

本編2023年8月3日(前編)=60-65番=

移動距離100.1㎞(含む電車37㎞)。本日の費用、札所620円、ホテル5,280円、交通費850円、食費2,838円、その他517円、合計11,105円。

今日はラスボス横峰寺にアタックする山岳ステージ。今回のお遍路は、事前に激坂の遍路転がしを5カ所設定した。それは12番焼山寺、20番鶴林寺、27番神峰寺、60番横峰寺、66番雲辺寺である。

21番太龍寺も相当な難所だがロープウエイがあるので今回は外した。逆に雲辺寺はロープウエイがあるが、今回は自転車で上るのでリストアップした。そして雲辺寺は札所中最も標高が高い場所にあるが、上りの距離も長いのでそれほど勾配はきつくないのではないかとみている。

従って、今日アタックする横峰寺が最後で最大の難所すなわちラスボスであると位置づけてきた。ということでいつもの作戦、つまり暑さ対策として早朝にスタートすること、重量対策としてホテルに荷物を預かってもらうこと、を決行する。目的地までは約20㎞。4:40ホテルを出発。

加茂川。東の空が明るくなってきたが、まだ日は登っていない。

黒瀬湖に浮かぶ月。この日は満月かそれに近い月だったのだろう、西の空に月が浮かんでいる。そして湖面にも月が浮かんでいる。

5:36、横峰寺への入口。ホテルからここまで約12㎞。黒瀬湖を回り込むように通過した辺りにこの標識がある。ホテルからここまではほぼ上りだが勾配は最大でも5%程度できつい坂道ではない。

上のY字路を右に進むとまもなくこの看板が出てくる。横峰寺まであと8㎞。ここはバス停で、横峰寺までマイクロバスも運行している。ちなみにピンボケなのはこの画面外れて右側に犬がいたから。野犬ではないかと警戒した。というかビビった。ちなみに、この後まさかの一旦下り坂になる。

再び黒瀬湖。空の明るさから、完全に黒瀬湖の西側に来ているのがわかる。つまり湖を半周したわけだ。

料金所。6時ちょうどに通過。誰もいなかったが、元々自転車はタダ。料金所を過ぎるとしばらく直線的に上るのだが、ここが一番きつかった。手許のサイコンで勾配15~18%の坂が延々と続き逃げ場もない。

ヘヤピンカーブでもこのありさま。今上ってきた道路がはるか下のほうに見える。この辺りから勾配10%くらいになるが、それで楽になったような気がするのだから面白い。いや喜んでいる場合ではないか。

普通ヘヤピンカーブだと外側のほうが勾配が緩いのでわざと大回りして上るのだが、ここではそれが通じない。どこを走ってもきつい。

これって立体駐車場のスロープよりきついんじゃないだろうか。エスカレーターをつけてほしいくらい。

6:30、瀬戸内海が見えてきた。

前後で落差4mはありそうなヘヤピンカーブ。一気にビルの2階以上うえに上るイメージ。

6:50、やっとここまで来た。直進すると駐車場へ。右折はその先に駐車場がないので通行止めになっているが、自転車は行ける(と思う)。駐車場方向に進むとさらにヒルクライムした挙句長い歩道を下って境内に出るという無駄な体力を使うことになる。

右折した先は未舗装なので、ここは押して歩く。しばらく歩くと、境内の裏手に出る。7:01、60番横峰寺を打つ。奥に見えるのは本堂。

一旦本堂の前を通り過ぎて参道を下り山門まで下りる。

御本尊大日如来蔵王権現と書いてある。蔵王権現か。蔵王エコーラインでトレーニングしてきたことが一瞬にして蘇る。

山門の手前。歩き遍路の人は麓から約2㎞のこのような山道を登ってくるそうだ。相当にきつい登山だと推定される。山門が見えた時の感動は一入だろう。

山門を出たら、本堂に戻る前に奥の院へ向かう。奥の院へは山門のわきからこのような山道を10分程度歩く。

60番札所奥の院星が森。ここには簡素な鳥居があり、その先に霊峰石鎚山をのぞむ。早朝の奥の院はボク以外誰もいない。神聖なこの空間を独り占めできることを幸せに思う。もちろん天候にも恵まれないとこれほどきれいに石鎚山は見えない。

星が森の弘法大師の祠。南無大師遍照金剛。

一旦山門まで戻って本堂に至る。本堂。入母屋造り平入銅板葺き。正面の屋根の一部が向拝として伸びて、さらにその先端が唐破風になっている。連続して流れるような屋根の造形が美しい。唐破風の懸魚と向拝虹梁の彫刻を朝日が照らしている。ご本尊は大日如来。ラスボスの正体は大日如来だった。べいろしゃのう。

ところでこのお堂、あとで知ったのだがなんと権現造りなのだそうだ。現場では全く気が付かなかった。権現造りとは神社建築の様式で日光東照宮が有名。ちなみにボクの地元の大崎八幡宮も、東北地方としては数少ない国宝建造物で権現造り。仏教寺院で権現造りは、ボクは他に見たことがない。

大師堂。本堂と向かい合うように配置されている。宝形造り銅板葺き。正面の屋根の一部が延長して向拝になっている。大師堂前で読経していたらいきなり扉が開き中から坊さんが薬缶をもって出てきた。朝のお勤めだと思うが、突然のことでびっくりした。ついでに中を覗けばよかったがそこまで気が回らなかった。

参拝後大師堂の左の歓喜天堂に腰かけて一服していると、突然扉が開いて中からさっきの坊さんが出てきてまたびっくりした。同じ坊さんに二度驚かされた。あとから考えると結構面白い出来事だった。

横峰寺の記念印、縁。「出会うか 出会わないか それには遥かな違いがあります」というお大師様のお言葉。出典:四国霊場会。

8:10、横峰寺をあとにして荷物を取りにホテルまで戻る。この区間は全くの打ち戻りで、9:10ホテル着。往路は2時間20分、復路は1時間の道のりだった。

後編へ続く。