Ino_noosの自転車遍路の記録

還暦のオヤジが自転車で四国をお遍路しました。その記録を記します。

本編2023年8月10日=3-2-1番=

走行距離45.0㎞(フェリー、電車含まず)。本日の費用、札所930円、ホテル7,000円、交通費2,620円、食費3,080円、その他1,180円、合計15,310円。

昨夜のビジネスホテル八幡さんは清潔でバスルームも広く快適な宿だった。また隣接する同じ経営のうどん屋さんで、うどんをたらふくいただいた。

さて、今日は結願の日。今日は3番からカウントダウンし、2番で結願、1番はお礼参りし、その後徳島港からフェリーに乗って和歌山に渡る。フェリーは約3時間に1本なので、13:20のフェリーには必ず乗りたい。従って昨日は無理して4番までまわったのだ。しかし宿から3番までは18㎞もある。ということで、今日も早起きして6時に出発する。

7:00、3番金泉寺を打つ。朱塗りの大きな仁王門。

本堂。入母屋造り平入本瓦葺き。正面屋根の一部が手前に伸びて向拝になっている。シンプルで威厳のあるお堂。ご本尊は釈迦如来

大師堂。宝形造りの典型的なお堂。屋根の飾りが金色で豪華。

黄金地蔵尊弘法大師が掘ったと言われる井戸で、上から覗いて自分の顔がきれいに映らなければ3年以内に死ぬという伝説があるようだが、映ったような映ってないような…

金泉寺の記念印、天朗則垂象。天が朗らかに晴れ渡っているときは、吉凶をあらわす象を垂れ、人が何かに感じるときには筆を取るものです。出典:四国霊場会。

納経所で、地元の小学生が作ったという鶴の折り紙がたくさん置いてあった。「お遍路さんどうぞ」と書いてあったので、納経所の奥様に断ったうえで一ついただいた。中にあめ玉が入っているという。いただいたのだが勿体なくて食べられない。

7:50、2番極楽寺を打つ。3番と同じような大きな朱塗りの仁王門。

本堂。近すぎて屋根の構造がわからない。ご本尊は阿弥陀如来

大師堂。宝形造り銅板葺き(たぶん)。

境内にあった長命杉。弘法大師が植えられたというこの杉は樹齢1200年だそうだ。

極楽寺の記念印、慈悲喜捨。他人の幸福を望み(慈)、他人の不幸を取り除き(悲)、その仕事に満足し(喜)、とらわれることがない(捨)。出典:四国霊場会。

これにて結願。しかしボクの旅はこれで終わりではなく、次は高野山奥の院、そして最後は東寺が待っている。それにしても、図ったわけではないが、結願が極楽(寺)というのはシャレが効いていて面白い。

なお、88カ所制覇で結願(けちがん)、結願プラス奥の院で満願、満願プラス東寺で成願、というのだそうだ。東寺は一番初めに行くという話もある。

8:30、1番霊山寺を打つ。お礼参り。

お礼参りは必須ではないが、御朱印に日付を入れてもらえるのが嬉しい。なお1回目の御朱印とお礼参りの御朱印は全く異なるものだった。なかなかディープだなあ。

納経所では外国人のカップルが納経所のおっさんから怒鳴られていた。彼女がカード(弘法大師生誕1250年の記念カード)を取ろうとしているのに対し、おっさんは今渡した袋に入ってるって怒鳴っている。なのでできる範囲で通訳してやった。まあまあ丸く収まったと思う。

本堂。初日ロードバイク4人組が入ってきて撮れなかった写真、やっと撮れた。この時の満足感が一番大きかったかも。

さて、この後が大変だった。霊山寺から徳島港までは約20㎞、今日も南東の風が強くド正面の向かい風だけでも勘弁してほしいくらいなのだが、霊山寺を出て間もなく滝のような大雨にやられた。今朝は始めから降ったり止んだりの不安定な天気だったのだが、霊山寺を出てからの雨は本格的な大雨だ。

この雨あとで調べたところ80㎜の猛烈な雨だった。一般に30㎜で大雨と言われるので80㎜がいかにすごいかと言う話。しかもこれほど猛烈な雨だとふつう短時間でやむのだが、徳島港に着くまで1時間以上ずっと降られっぱなしだった。特に吉野川にかかる四国三郎橋を走行した時は、吹き飛ばされそうな暴風で、マジで死ぬかと思った。もしこのタイミングで沈下橋だったら、絶対落ちていたと思う。

雨は始めから織り込み済だったので、命の次に大事な納経帳は3重の防水対策をしていた。しかし風が強すぎるためポンチョを着ると余計に危ないと判断し、これはあきらめた。つまり身体は首から下は一瞬でずぶぬれ状態となった。頭は菅笠のおかげで濡れずに済んだ。もし菅笠がなかったら、顔に当たる雨が痛くて目も開けられなかったと思う。バックパックは元々防水仕様だがポリ袋をかぶせたので大丈夫だろう。

さて雨中走行は不思議なもので、降りだす前は雨が降らないようにと怯えながら走るのだが、一方雨が降り始めて身体が濡れてしまうと、あきらめというかむしろ楽しくなってくる。この日も早々とその境地に達した。この日ほどディスクブレーキに改造して良かったと思った日はない。道路も至る所排水が追い付かず、リムが水没する状況だったのだ。でも鳴きがひどかったけど。

ずぶ濡れの濡れ鼠状態でフェリーターミナルに着いたのが10:30、霊山寺から1時間半かかった。次のフェリーは10:55だが、これは見送り自転車と身体の手入れをすることにした。運よく人通りの少ない通路を見つけたので、まずずぶ濡れの服を捨て乾いた服に着替え、持参したウエスで自転車を分解しながら汚れを拭き取る。次にチェーンに注油する。最後に輪行袋に入れる。それにしても真夏で良かった。ずぶ濡れになっても我慢できる。

13時過ぎに乗船し2時間ちょっとの船旅。この風雨なので結構揺れた。さて、和歌山港から今夜の宿の紀の川までは約20㎞だが、午前中の雨のダメージが深刻で自転車に乗る気になれない。ということで自転車は袋に入れたまま和歌山線で移動することにした。

17時ホテル着。今夜はホテルルートイン紀の川さん。くどいようだが今日の雨は猛烈だった。しかしお遍路が終了したタイミングで降られたのは不幸中の幸いだった。もしまだ札所が残っている状態だったら、相当困難な状況に追い込まれていたのは間違いない。昨日4番まで打った時はやりすぎたかとも思ったが、結果的に正解だった。人間万事塞翁が馬。明日はいよいよ高野山アタック。

8月10日終了。