Ino_noosの自転車遍路の記録

還暦のオヤジが自転車で四国をお遍路しました。その記録を記します。

本編2023年8月5日(前編)=71-72-73-74-75-76-77-78-79番=

走行距離72.3㎞。本日の費用、札所6,490円、ホテル6,110円、交通費0円、食費2,985円、その他547円、合計16,132円。

今日は香川県の札所密集地帯を駆け抜ける。71番から目標80番まで。でもまず昨日見落としした砂絵に寄る。5:40出発し、昨日通った道を引き返す。銭形展望台入口から短いが激坂が始まる。小さなループトンネルまである。勾配は軽く10%を超えるが、朝一だしまだ気温も高くないので大丈夫だ。

6:00、砂絵展望台から寛永通宝を見下ろす。しかしこれ、雨や台風で崩れないのだろうか、すごく不思議ではある。

昨日の積み残しも拾い上げたのでお遍路を再開する。6:20スタート。R11に合流するように北上し弥谷寺を目指し、7:20、71番弥谷寺を打つ。弥谷寺は45番岩屋寺に匹敵する階段寺で、うっそうとした森の中ひたすら階段を上らなければならない。540段だそうだ。さらに弥谷寺は日本三大霊場の一つだとか。そう思うとゾワゾワっという感じがする。

仁王門。完全に夜は明けているのだが、薄暗いのは森が深いからだ。

左の画像、序盤。まだまだ序の口ここは山門の手前。中央の画像、中盤の百八階段。右の画像、大師堂。

百八階段の足元におられる金剛拳菩薩像。6mの巨大な像。

階段はさらに続く。ここには摩崖仏があったのだが、見逃してしまった。

本堂。入母屋造り妻入り本瓦葺き。シンプルな向拝が張り出す。ご本尊は千手観音菩薩

本堂から見る景色。標高約300mなので、すごく景色が良い。

大師堂は写真なし。大師堂はの本坊の中にあり、靴を脱いで中に入り参拝する。納経所も同じ場所にあった。

弥谷寺の記念印、壽無涯。四恩に感謝し、常に善行方便を廻らして生活に生かす。善行方便(十善)をめぐらす。六波羅蜜を常に心に持つこと。出典:四国霊場会。

さあどんどん行こう。8:30、72番曼荼羅寺を打つ。弥谷寺の山を下りて東へ進むと平地に突如出現する感じ。こちらは仁王門。

本堂。入母屋造り平入本瓦葺き。正面屋根の一部が伸びて向拝につながっている。棟の飾りがものすごく凝っている。ご本尊は大日如来

大師堂。宝形造り本瓦葺きの典型的なお堂。

珍しい半跏の地蔵菩薩

曼荼羅寺の記念印、法身説法。世の中の全ての現象は大日如来の説法である。出典:四国霊場会。

9:00、73番出釈迦寺を打つ。72番とは目と鼻の先。

修行大師像。背面の山の稜線に見える三角屋根は奥の院捨身ヶ嶽。

左、本堂。宝形造り本瓦葺き。正面屋根の一部が伸びて向拝になっている。ご本尊は釈迦如来。右、大師堂。こちらも宝形造り本瓦葺き。ただしこちらは唐破風の向拝付き。本堂のほうがやや大きい。

出釈迦寺の記念印、和顏愛語。自らが相手の気持ちや状況を汲み取ってよく受け入れ、言葉はやさしく、柔らかな表情で接しましょう、という意味。出典:四国霊場会。

奥の院へはご遠慮申し上げた。何でも殺人的な激坂らしい。

9:30、74番甲山寺を打つ。出釈迦寺から3㎞程度、道に迷わないよう慎重に走ったつもりだったが、また裏門から入った。

ところで、ボクが弥谷寺に入ったとき、すれ違いで出て行った歩き遍路のご夫婦がいた。彼らには出釈迦寺を出たところで追いついたので、追い越しざまにあめ玉をお接待したのだが、この甲山寺では逆に彼らに追いつかれて、さっきのお礼とばかり梅干しのお菓子をお接待された。

それにしてもこのご夫婦は年配の方だが速い。山歩きに慣れている感じで背負っているリュックも登山用。今日もこの時間ですでに30℃以上の猛暑だが、長袖長ズボンのいで立ちで颯爽と歩いているさまは、経験豊かな登山家然としていた。とてもかっこいい。

本堂。入母屋造り平入本瓦葺き。正面の屋根が伸びて向拝になっている。ご本尊は薬師如来

大師堂。宝形造り。

それにしても、歩き遍路の方に追いつかれるほど何をやっていたかというと、これ。甲山寺はうさぎがシンボルのようで、かつ今年はうさぎ年ということでうさぎの御朱印キャンペーン中だったのだ。ボクもうさぎ年なので、白衣とサイクルジャージにうさぎの御朱印を押してもらった。この日は白衣もサイクルジャージもバックパックの中だったので、一旦荷ほどきしなければならず、ばらしたりまた荷造りしたりでだいぶ時間がかかってしまった。でもなかなかいいじゃんこの御朱印。ちょっとは速く走れるかも。

甲山寺の記念印、同時成仏。本尊を仏として拝むとき、拝まれる方はもとより拝むわたしもまた仏となるのであり、これを「同時成仏」というのであります。したがって、祈りは決していい加減な気持ちで行ってはなりません。出典:四国霊場会。

次の善通寺甲山寺から区間距離3㎞程度なので、あっと今に到着する。
10:20、75番善通寺を打つ。善通寺弘法大師生誕の地だけあって、他の札所とはその大きさ荘厳さにおいて一線を画す。こちらは山門と思ったけど、大師堂側の門だった。

善通寺はとても広く、本堂と大師堂が通りをまたいで向かい合わせになっている。本堂は東院、大師堂は西院。ということで、180度反転して本堂へ向かう。

山門と思ったけど、ここも違うようだ。中門と言うそうな。下半身の造形がユニークな門。石手寺の鐘楼にもみられる袴のような設計。

袴の股の間から本堂と五重塔

今度こそ山門で間違いないだろう。南大門と言うそうな。御誕生所善通寺と書いてある。

金堂。国重要文化財。入母屋造り平入本瓦葺き。大きな裳階が張り出すこの造りは、東大寺の大仏殿を想起する。あっちは寄棟造りだけど。ご本尊は薬師如来、中に入って拝観できる。写真はないがとても大きく威厳があるというかご利益がありそうなご本尊だった。

五重塔。国重要文化財。八十八カ所では竹林寺本山寺に続いて3つ目。逓減率が小さいこのスタイルは東寺の五重塔に似ていると思う。高さ約43m、善通寺HPによると、国内では3番目の高さだそうだ。ということは、東寺、興福寺八坂の塔に続く高さか、あれっ順位が…  

ところで、東院と西院の間をうろうろしていたら、先ほどのご夫婦の歩き遍路と再会した。奥様が手を振ってくれた。チャーミングな方だ。曰く少し手前でうどんを食べてきたそうだ。そんな寄り道しても自転車のボクと同じペース、恐るべし歩き遍路。

西院に戻ってきて御影堂。国重要文化財。入母屋造り平入本瓦葺き。正面には大きな千鳥破風を構え、破風の幅に合わせた向拝が屋根から伸びる形で張り出している。こちらは弘法大師が生まれたまさにその地だそうだ。こう言っちゃナンだがよそのお寺の本堂より大きい。手前には参道が接続されている。

参道内側から。今日のような日差しがきつい日には助かる。

善通寺の記念印、四恩。我々が平等に恩恵をうけているものに四つあることをいいます。その四つとは、父母の恩・衆生の恩・国王の恩・三宝の恩とであります。出典:四国霊場会。

後編へ続く。