Ino_noosの自転車遍路の記録

還暦のオヤジが自転車で四国をお遍路しました。その記録を記します。

本編2023年7月20日(後編)=20-21-21-23番=

2023年7月20日(前編)=20-21-21-23番=から続き。

21番太龍寺を参拝している。本坊の玄関には花が活けてある。管理が行き届いていて心憎いほど。暑さも忘れてしばし見とれてしまった。納経所はこの左側。納経所では若いお母さんが赤ん坊を背負ってあやしていて、急に生活感にあふれる。このギャップにまいってしまった。太龍寺いいね!ところで、何気なく映っているけどこの達磨は何?

達磨のいる廊下を進むと龍の天井画がある。実際は中には入れないが、天井画の部分だけ、縁側から覗くことができるようになっている。すごい迫力。

太龍寺の記念印、劍落太龍峰。「剣は太龍の峰に落ち」、幕末三舟の一人、高橋泥舟漢詩の初句だそうだ。出典:四国霊場会。

 

こちらは仁王門。徳島でも最古最大の仁王像とのことだが、この時は見逃してしまった。仁王門から出ると自転車に乗れる。仁王門の内側は自転車は押して歩かなければならない。

仁王門の脇の参道。階段をつけるほどの急勾配。

スキーに例えるなら中級コース位の斜面で、勢いがつくと非常に危険。車だとたぶん下は見えないだろう。

コンクリート舗装は割れているし、ガードレールもないので落ちたら一巻の終わり。太龍寺としてはロープウエイがある以上あえてこの参道を整備する必要もないのだろう。

さらに急斜面は続く。ブレーキいっぱい握りしめ、という歌があったが、この下りは握力が弱い人は本当に危険、実際ボクも握力が疲れて前腕が痛くなってきた。握りっぱなしで緩めるポイントもないから。

こんな坂上りだったら絶対にギブアップしていただろう。車だって軽に4人乗りだったら上れないんじゃないだろうか。ジェットコースター並みだよね。

麓。ここまでくれば一安心で、今まで背負っていたバックパックをリアキャリアに縛り付け、ボクは身軽になる。22番へはR195を通っていく。

11:20、22番平等寺を打つ。立派な山門。階段を下りているご夫婦は太龍寺でもご一緒した。自転車なのにもう着いたの?速いね~、と言ってくれたが、実は車だと往復ロープウエイを使うため遠回りになるのよね。

階段の上が本堂。ご本尊は薬師如来。現場では気付かなかったが、ちょっと屋根が変わっている。入母屋屋根に切妻屋根をかぶせたような感じ、または入母屋屋根に見えるのは裳階か? 

→2024年3月13日追記:この屋根は錣(しころ)屋根だと思われる。昔読んだ文献に書いてあったことを突然思い出した(これって老化現象?)。西は四天王寺の伽藍、東は増上寺本堂などが錣屋根であるが、どちらも参拝したことがないので線がつながらなかった。四天王寺の錣屋根は古式ゆかしい風格が備わっている。建物は新しいけど。増上寺は映画ウルヴァリンsamuraiのロケ地にもなった超メジャーなお寺。なお余談だが、錣とは鎧兜の兜の下半分の首筋を保護するスカート状の部分をいう。そう思ってみると、錣屋根の命名にも納得する。

ところで、こちら平等寺は非常に開放的な内陣で、仏さまを全部見ることができる。中央にご本尊の薬師如来、ご本尊の手前に不動明王、ご本尊の両脇には十二神将、さらにその両脇には不動明王毘沙門天大日如来とオールスターキャストの布陣が全部見通せるようになっている。いや~開放的で面白い。

こちらは大師堂。典型的な宝形造りのお堂。

平等寺の記念印、善説佛語。善く説かれたものは仏の教えであるという意味。出典:四国霊場会。

境内で屋台を出している親子と会話した。息子さんは自転車に乗っていて、かつ東日本大震災の時はボランティアで来てくれたそうだ。ありがたいことだ。

13:45、23番薬王寺を打つ。23番へは県道284号→R55というコースで、おおむね下り基調の走りやすいコース。一旦23番を通り過ぎて道の駅日和佐で昼食をとった。薬王寺は階段寺で、それぞれの階段には女厄坂、男厄坂、還暦厄坂、と名前がついている。

奥は本堂。入母屋造りのシンプルなお堂。向背虹梁の彫刻が素晴らしい。ご本尊は薬師如来。この本堂の裏にもう一人ご本尊がいるらしいのだが、この時は気付かなかった。手前は魚籃観音

大師堂。本堂の向かって左側にある。宝形屋根のこちらもシンプルなお堂。

薬王寺の記念印、功徳力。神仏の恵み、ご利益。出典:四国霊場会。

 

還暦厄坂、還暦だけに60段ある。階段の上に瑜祇塔が見える。この階段を、1段に1円玉を2枚置いて薬師如来真言を唱え、をしながら1段ずつ登っていく。1円玉2枚とはカミさんの分とボクの分。

60段目から下方向を見る。一部重なった1円玉2枚はボクが置いてきたもの。事前に準備してきた1円玉120枚をぴったり納めた。

瑜祇塔から日和佐の町並みを見下ろす。海、川、山、町並み、なかなかの良い景色。向かいの山には日和佐城も見える。

河口側から瑜祇塔を見る。瑜祇塔は町のどこからでも見え、町のシンボルになっているのがわかる。薬王寺には日帰り温泉もある。もちろん温泉は利用させてもらった。

今夜の宿はゲストハウスさくら庵。古民家を改装したゲストハウスで、ノスタルジックな夜を味わった。女性のご主人はとても気さくな方で、日中はアロマオイルを使ったボディケアをされている。この日は営業時間外にも関わらず脚のマッサージをしてくれた。しかも予定時間をオーバーして丁寧にマッサージしてくれた。朝から鶴林寺の上りでダメージを受けていたボクの脚も、この懇切丁寧なマッサージで十分癒された。ボクの心も十分癒された。さくら庵サイコー。

さて、本日の走行距離は59.6㎞だが、これには太龍寺のロープウエイも含まれる。前編の冒頭に貼った標高履歴には大きな山が二つあるが、一つ目は自転車で上った鶴林寺、二つ目はロープウエイで上った太龍寺の山。両者の勾配の差がはっきりわかって面白い。

おまけ。薬王寺で買った厄払いのお守り。カミさんの分とボクの分。

7月20日終了。