Ino_noosの自転車遍路の記録

還暦のオヤジが自転車で四国をお遍路しました。その記録を記します。

本編2023年8月2日(前編)=57-58-59-61-62-63-64番=

走行距離51.5㎞。本日の費用、札所2,170円、ホテル4,880円、交通費0円、食費3,768円、その他200円、合計11,018円。

今日は今治から西条まで進む。今日は仙遊寺以外は平地の札所だと思うので、粛々とこなそう。60番横峰寺はスキップし、明日に回す。昨日と同じように6時前にロビーで自転車を組み立て、6時半ごろ出発。

57番栄福寺へは直前に遍路道がある。コンクリート舗装の平坦な道で石清水八幡神社の森の境界線を縫うように走る。

ここまではよかった。その後なぜか突然激坂に突っ込み、墓地の中を通過して境内の手前に出た。劇的な展開だったが、激坂は勘弁してほしい。

7:00、57番栄福寺を打つ。こちらは山門はないようだ。

向かって左が本堂。入母屋造り平入に豪華で巨大な唐破風を張る。ご本尊は阿弥陀如来。向かって右は大師堂。宝形造りで屋根を延長して向拝としている。

本堂の唐破風とその天井裏。天井画があるようだが、現場では見逃してしまった。唐破風の飾りは超豪華。

こちらは大師堂の向拝虹梁。龍の彫刻が凄い。

栄福寺の記念印、発心即菩提。覚りの心である「菩提心(ぼだいしん)」をおこすと、またたくまに覚りの境地に至る。出典:四国霊場会。

次の仙遊寺ヒルクライムがあるのだが、もしかしてあれか?あの山の上まで上るのか?

仁王門。参道はここから始まるが、もう既に激坂の気配が。ちなみに、白い仁王像はなかなか珍しいと思う。歩き遍路はこの門の奥に進むのだろうか。

スイッチバックかと思うほどだがこれでもヘヤピンカーブ。左側なんて下が見えない。この部分は手許のサイコンだが勾配20%以上だった。

こんな激坂だと一直線には上れないのでジグザグに蛇行して上る。ボクは勝手にウェーデルン上りと呼んでいるが、この時ばかりはこれが裏目に出た。ジグザグにハンドルを切って踏み込んだ瞬間前輪が浮き上がり、バランスを失って転倒しかけたのだ。

元々リアキャリアに8㎏の荷物を積んで重心がリアに偏っているところに、あり得ない勾配と、減速比1という超遅速ギアという条件が重なり、踏み込んだ時にウイリーしてしまったのだ。バランスを崩したが危ういところで踏みとどまり転倒は免れた。

しかし一旦停止すると今度は再スタートできない。つまりふつうは片脚で踏んで惰性で走っている間に反対の脚で踏む、なのだが急勾配なのでこの惰性が得られない。一度止まると再び進むことができないほどの激坂なのだ。3度目のトライで何とか乗ることができた。それほど急勾配で危険な坂だということ。
そんな具合で必死で漕いで、8:00、58番仙遊寺を打つ。まだ8:00だけど結構消耗した。ロードバイク用のスタンドがあるということは、ロードバイクで上ってくる人が結構いるということを示している。

本堂。入母屋造り妻入りの屋根に巨大な唐破風がでん!とくっついている。さらにこれまた巨大な裳階がついていて、それぞれが強烈に主張しあってものすごいことになっている、という印象のお堂。裳階と言ったが裳階なのか2層になっているか、よくわからなかった。ご本尊は千手観音菩薩それにしてもこの分厚い唐破風は圧倒的だ。屋根瓦の飾りも凄い。何がなんだかわからない。くどいか。  右奥には鉄筋コンクリートの建物が見えるが、これは宿坊と思われる。

ご住職の許可をいただいたので、ご本尊を撮影した。残念ながら中が暗いのとボクの腕が悪いのとでピンボケになってしまった。


左が大師堂。こちらはごくノーマルな宝形造りで正面は屋根の一部が伸びて向拝になっている。

仙遊寺の記念印、ありがとう。

境内から今治方面を臨む。しまなみ海道らしき影もかすかに見える。

苦労して上った分立ち去りがたいが、いつまでもいるわけにもいかないのでさっきの坂を下ることにする。

最早お約束となりつつあるが、道に迷ったり遠回りしたりして、9:10、59番国分寺を打つ。

本堂。入母屋造り波瓦平入、正面の屋根の一部が手前に伸びて向拝になっている。ご本尊は薬師如来

左本堂、右大師堂。大師堂は宝形造りの典型的なお堂。本堂とは90度の配置で建っていて、本堂と大師堂は渡り廊下で繋がっているように見える。

握手修行大師像と薬師のツボ。せっかくなので手袋したまま握手してきたが、このような石像やオブジェにはあまり魅力を感じない。

伊予国分寺の記念印、心香。身は花とともに落つれども心は香とともに飛ぶ。出典:四国霊場会。これいい言葉だなあ。

国分寺を出て走行中、道路わきに突然蓮の畑が現れた。お遍路の最中だからという訳ではないが、蓮の花って本当にきれいだと思う。

中山川の手前から霊峰石鎚山をのぞむ。横峰寺はどの辺りにあるのだろうか。横峰寺は明日の楽しみに取っておく。なんちゃって。

11:10、61番香園寺を打つ。香園寺はその特異性という点では八十八カ所でピカ一だろう。鉄筋コンクリート2階建てのコンサートホールのような建物だ。参拝するには2階に上がって靴を脱いで入らなければならない。2階の祭壇もコンサートホールのようだ。ボクが参拝した時は誰もいなかったので、それをいいことに大声で読経したのだが、反響して気のせいかとても良い声に聞こえた。

真夏の遍路は猛暑で非常に過酷であるが、どこに行っても空いているという点は、猛暑という難点があっても選択したくなる最大の利点だ。ということで、2階のホールでご本尊とお大師様をお参りした。

下は建設中。本坊らしき建物の唐破風が見える。鉄筋コンクリートアバンギャルドな建物にすればカッコいいのに、こっちだけトラディショナルにしても統一感がなくアンバランスに感じることだろう。悪いけど。

香園寺の記念印、三密瑜伽。仏様の身(形、動作)口(語、言葉)意(念い、考え)と衆生の身口意とを、修行することによって、加持観応して一致
融合を体感すること。出典:四国霊場会。

後編へ続く。